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井上ひさし監修 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス 『ぼくらの先輩は戦争に行った』 講談社 1999.08 慶応大学でライティング・コース(講師・植田紗加栄氏)を受講した89人が、戦争体験者を対象におこなった聞き取り調査レポートのうち、31編をまとめて書籍化したもの。 現在20歳前後の学生が、戦争当時20歳ぐらいであった「先輩」をたずね当時の話を聞き出すもので、いまと当時の20歳の差をうきぼりにしながら戦争とはなにかを知る試みである。 インタビューであるから、主役は、徴集をうけ戦地におもむいた老人たちの体験談である。しかしもうひとつの主役は、インタビューを聞きながら迷ったり考え直す学生の言葉である。 「実際にインタビューをしてもっとも強く感じたことは、『思ったよりも悲壮感がない』ということでした」 「彼らの精神力の強さとともにそれを可能ならしめた当時の時勢に驚愕させられる」 「桜上水の駅まで行く途中、今日はどんなことを聞こうかと考えていた。ふと、目線を上げると日本はなんと平和であろうかと思った」 「僕の中で暗い、霧に包まれた戦争観がほぐされ、言い方はおかしいが戦争に興味がもてた」 老人たちが「後輩」に親しみをこめながら、淡々とやさしく語る。内容は凄惨な現実である。それを学生たちは敬意とおどろきとともに聞く。歴史を学ぶということは、本当はこういうことなんだろうなぁって思う。 さて、このライティング教室をつうじて聞き取りをした学生諸君(と読者)は、太平洋戦争という災禍にまきこまれた被害者としての日本人を知ることができた。つぎのステップとして、今度は、アジアを歩いて加害者としての日本人を体感することがバランスとして必要だろう。 本文中である老人が言う、「次代が戦争を語るときは、われわれ戦争体験者をも納得させるものでなければならない」。 と同時に日本人は、世界に影響力をもつ国として、世界に向けてアカンタビリティをもたなければならない立場にある。だから開かれた歴史観が必要だ。 「次代」の日本人への期待と課題は大きい。

テクニカルライティング教室
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