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台湾のあのやさしいおじいちゃんたちに、
ぼくらがしなくてはいけないこと。
浜崎紘一
『俺は日本兵 台湾人・簡茂松の「祖国」』
新潮社 2000.03
日本としてアジアの国々とのあいだで抱えた問題は、さまざまある。
たとえば尖閣諸島・竹島の領有権の問題だとか、従軍慰安婦の補償の問題、南京事件・731部隊など史実に関する意見の違い、靖国神社公式参拝の解釈など。
そうした問題のひとつが、台湾国籍元日本兵への補償の問題だ。
かれらは、子どものころ、わたしたちの祖父・父らとおなじように、「皇民化」教育を受け、軍国主義をまなび、天皇陛下のために出兵した。そして、戦後は、戦犯として地獄のような抑留生活まで送らされた。
にもかかわらず、「あなたたちは日本人じゃないから」という理由で、戦後、退役軍人としての補償を一切得られなかった人々である。
日本人として地獄をあじわい、日本軍の強制した命令にしたがって捕虜をあつかい、そのために戦犯という判決をくだされ、戦後も5年から15年にわたって家畜以下の抑留生活を強いられながら、いざ刑期をあけてみると「祖国」日本に門前払いをされた人々である。
では、そうした人々が、賠償請求を放棄した中華民国に帰って苦労をねぎらわれたかというと、まったく逆で、日本色の払拭に必死な強権独裁政治の台湾へなどあぶなくて帰れず、かといって日本にいれば収容所に放り込まれる。ゆきばのない境遇にさらされたのだった。
本書は、そんな台湾国籍元日本兵の過酷な生涯を、読売新聞記者の浜崎紘一氏
が再現したもの。
実在の主人公簡茂松さん
の回想で物語はすすみ、それに補償請求訴訟の推移が肉づけされている。
従軍慰安婦問題などとおなじく、かれらへの補償は、現行法の枠のなかでは「解決済み」の問題であり、裁判所としては、国会があらたに法律を定めるしか補償の方法はないと繰り返している。
つまり、これは法律上の解釈の問題ではなく、わたしたちいまの国民に意志があるかないかの問題である。
あの戦争は軍部の独走であり、一般市民は責任がないとこれまでどおりシラをきりつづけるか、あるいは自省的に一歩ふみだして、当時の国民の子として、責任を負うかどうかが問われているのである。
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