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右翼絶賛のマンガ?
小林よしのり『戦争論』がアジアで話題に。
漫画書驚見、「皇軍」陰魂
亜洲週刊 1999.2.8-2.14
1999年2月8日号の亜洲週刊に、小林よしのりの『戦争論』が紹介されていた。
亜洲週刊は、繁体字で縦書き。内容は台湾、大陸、香港の政治・社会ネタを扱っている。本社は香港らしいけれど、みたところ編集者は台湾に近い気がする。
タイトルを訳せば「マンガでびっくり、いまも残る「皇軍」の亡霊」とでもいった感じか。要するに、『戦争論』を読んでみたら、いまだに日本に天皇の軍隊の精神が残っていてびっくりしたということ。
かといって日本は危ないぞって糾弾するヒステリックな叫びまでにはなってなかった。筆者は江沢民じゃないから。
誌面では、1996年に「自由主義史観研究会」を発足した渡辺昇一、小室直樹、西尾幹二、藤岡信勝氏らが、大東亜戦争を侵略戦争というのは「自虐史観」だと主張し、従軍慰安婦についての教科書の記述をあらためさせようとしていることを紹介している。
そうした風潮のあるなかで、絵と図でわかりやすく民族主義を扇動しているのが『戦争論』だといい、軍国主義者は『戦争論』が「大東亜聖戦」を描き日本軍を弁護するのを、日本のベルリンの壁の崩壊だと喜んでいるという。(どういうことだろう? 連合国の名残りがなくなってタブーがなくなったということ?)
また、こうした「自由主義史観」の動きに日教組が抵抗しているが、東大、京大、慶応といったいわゆるブランド大学でも『戦争論』は人気が高く、すでにトータルで59万部売れ、右翼系の学者を奮い立たせている、と。
漫画家小林よしのり、「草の根右翼」?
さらに、ある中学の歴史教師のインタビューを引用し、昭和のころの歴史は教師も避けようとする傾向があり、わざと期末テストのまえにあわててやってお茶を濁すこともあり、教育がそういう現状では、『戦争論』のように大衆にこびた「草の根右翼」運動の影響力は大きいと警戒をうながす。
ただし、最後に、東大でドイツ問題を専攻している大学院生の話を紹介し、価値観の多様化した日本では『戦争論』のような本が売れるのも不思議なことではないが、かといってそれが主流になることはない。ドイツのように歴史教育を重視することも大切だが、それよりも大切なのは、被害のあった国と若者の民間交流を進めて歴史認識を活き活きしたものにすることであり、日本がこうした経験を学べば、小林よしのりのような主張は決して大きな勢力にはならないだろうと結ばれている。
この記事は全体的に『戦争論』を感情的に批判するものではなく、事実関係をわりと客観的にならべたものだった。とはいえ、日本が右よりになりつつあるという「事実」をこれだけならべると、アジアの人にとっては十分インパクトある話題だろうなとおもう。
最後には「小林のようなのは決して大きな勢力にならない」とあり、ちょっとホッとした。
あと、社会党を支持するバカ集団だと思っていた日教組も、アジアの人から見たら、よき理解者なんだなというのも発見だった。
ともあれ、あの本は、アジアの人にとっては決して気持ちのいいものではないだろう。
小林よしのりは福岡出身らしい。なんだか夏目漱石の声が聞こえてくるような気がする…
「福岡より東京は広い。東京より日本は広い。日本より… 日本より頭の中の方が広いでしょう。とらわれちゃ駄目だ。いくら日本の為を思ったって贔屓(ひいき)の引倒しになるばかりだ」
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