軍国主義アメリカの画策

チャルマーズ・ジョンソン

屋代通子訳

『帝国アメリカと日本 武力依存の構造』

集英社新書、2004.07

2001年9月11日のテロは、なぜ起きたのか?

あれは、ブッシュの言うような、自由民主主義的文明に対して狂信的イスラム教徒が仕掛けた、「文明の衝突」などではない。

アメリカ政府の積年の外交政策、とくに CIA が画策した秘密作戦の逆輸入(「ブローバック」という)なのだ。

と、この著者は言う。

本書は三つの論文をまとめて一冊にしたもので、アメリカ政府がいかにこれまで軍事力を背景に、自国一国の利益を追求し、他国の福祉を軽視し、国際社会を攪乱してきたかが、累々あげられている。

たとえば、3つ目の論文中には、米国政府の意向をうかがう日本政府が、米軍の駐留反対を唱える沖縄県知事大田昌秀氏を排除しようと、稲嶺恵一氏にすげかえた経緯が詳述されている。

軍国主義アメリカの画策が、わたしたち日本人にも、空気のように身近に及んでいることに、あらためて慄然とさせられる。

さて、こう書くと、この著者がまるでセンセーショナルな暴露もので売る週刊誌ライターのようだけれど、そうではない。

それどころか、カリフォルニア大学バークレー校の政治学部長まで務めた、正真正銘の国際政治学者なのだ。

本書は、ちょうど映画『JFK』のように、アメリカの陰部を糾弾している。アメリカ政府の外交政策に対する批判本なのだが、もちろん、テロリストを弁護しているわけではない。

ただ、アメリカとテロリストを、善と悪のように単純に決め込み怒りをあらわにするのではなく、そうした対立を生んだ原因がアメリカ側にも少なからずあるという側面を明瞭にしようとしている。