2000年・ソウル

これも「恨(ハン)」?

趙 昌仁
チョ チャンイン
金淳鎬訳

『カシコギ』

サンマーク出版、2002.03

主人公は、白血病にかかった少年タウムと、その父親チョン。

ふたりの視点が交互に入れかわってストーリーは展開する。

母親はふたりを離れ、すでにちがう男の元に走っている。

父親チョンは、なんとか子どもの苦痛を和らげ、できることなら命を救おうと孤軍奮闘する。

金も尽き、仕事もとれず、みずからもガンを告知され、その発症に苦しむ。

それでもかれは、心身の痛みに耐え、一途に子どものためだけを考える。

タウムも、幼いながら父の思いを察し、病苦に耐え続ける。

必死のチョンと、けなげなタウム。

しかし、ふたりの運命はどこまでも苛酷に…


本書は韓国で160万部超のベストセラーだったという。

主人公が不治の病というストーリーは、映画『八月のクリスマス』『ラスト・プレゼント』がそうだった。

不運にうちひしがれるのでなく、不屈の闘志で身を立て直すというのは、『宮廷女官チャングムの誓い』がそう。

父性愛でいうなら、『大統領の理髪師』『グエムル 漢江の怪物』がある。

韓国人の好きなジャンルなのだろう。


ネットで「恨(ハン)」について言われていることをいろいろ調べてみた。

それらを総合してみたところ、どうやら韓国人特有の「恨」という感情は、自分のせいではないのに、自分ではどうしようもない運命に弄ばれるような状態に陥り、自分の非力さをアイゴ〜と呪う感情をいうらしい(そして、その最たるものが、日本の植民地支配だったらしい)。

本書のようなのも、「恨」を喚起するのだろうか?


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