テレビでよく見る三人が、イラク問題、天皇制、戦争、戦後思想、教育、愛国心について語り合ったもの。
おもしろかったのは、かれらの考え方のちがいが、生いたちの差というか、世代の差からきたものだってことが、わりとよくあらわれてるところだとおもう。
田原総一朗氏は、1934年生まれ。いま、70代。
子どものころは天皇のため立派な兵隊さんになることに憧れていたが、そうなるまえに終戦を迎えた。戦後は、権力の暴走が戦争を引き起こしたのだから、人々は権力に対して十分警戒すべきだと信じた。ふたたび権力機構に振り回されることのないよう、反権力思想をかたくもち、民の集合体としての国家づくりをすべきなんだと信じた。そしていまも、民主主義のあり方にこだわりつづけている。
西部邁氏は、1939年生まれ。いま、60代。
終戦時は、まだまだ幼少。ものの理屈がわかり始めたころは1950年代。占領軍が去って、ニッポンが独立を取り戻し、「単一民族」神話が広がるなかで民族再興に向かっていた。若いころには左翼運動にも関与したけれど、のちに自分自身を見つめ直していたら、ぬぐい去れない愛郷心に気づいて、保守へと転じた。また、安直な西洋近代主義がどうにも納得できず、反米主義になった。故国ニッポンに連綿と続く歴史や伝統的価値を尊重すべきだとおもっている。
姜尚中氏は、1950年生まれ。いま、50代。
10代は冷戦まっただなかだったが、20代には、世界はデタントからグローバル化へと進んでいた。愛郷心・国籍・民族性が複雑に絡み合う「在日」として、周縁的なポジションから国際関係をながめてきた。そしていまは、東北アジアの国々のあいだの地政学的な関係を重視すべきだと考えている。また、それぞれの国民が一国単位の愛国心をのりこえて、文化歴史の違いをふまえたうえで、たがいに共感をもって理解し合うこと、そして、東北アジアを中心に開かれた地域秩序が形成されることを望んでいる。
こうしてみると、かれらの主張の核心には、それぞれの世代の特徴が出ている気がする。
なんだか、50代、60代、70代の代表、みたいな。
わたしたちの身の回りにいる両親や職場の先輩など、うえの世代が、戦争や天皇制あるいは戦後思想というものをどう受け止めたのか。
それが三人の話のなかで垣間見れたような気がした。
たぶんこのお三人は、それぞれ若いころ、時代の空気みたいなものを、しごくまじめに吸収した人たちなんだとおもう。
ひとの信条というのは、青年期の時代の空気で決められてしまうもののような気がする。
じゃぁ、じぶんの世代はものの考え方にどういう特徴をもっているんだろう。
それは、なにに影響されたからなんだろう。
そこには、どんな傾向やら限界があるんだろう…
…なんて、世代論がいろいろアタマをよぎる本だった。