中国語やるなら東亜同文書院、
ロシア語ならばハルビン学院。

芳地 隆之
ほうち たかゆき

『ハルビン学院と満洲国』

新潮選書 1999.03

『「上海東亜同文書院」風雲録』『中国残留日本兵の記録』を読んで、大陸帰りの日本人のことがもっと知りたくなって、手に取ってみた。

語り口がよく、話題も、自由奔放に時空を越えてあちこち飛びまわる。

登場する人物も、後藤新平、二葉亭四迷、石原莞爾、甘粕正彦、安彦良和、リーフェンシュタール、坂本龍一、手塚治虫などなど。これでもか状態。

繰り出されるエピソードの連続をおもしろがっているうちに、満洲国というまぼろしの国家が置かれていた国際情勢や、そこに渦巻いた日本人の思惑などがみえてくるという仕組み。

ちなみに、ハルビン学院とは、1920年に「日露協会学校」という名で創立され、満洲国建国にともなって「ハルビン学院」になり、日中戦争激化のさなか「満洲国立大学ハルビン学院」となり、終戦で崩壊した学校である。

ロシア語を徹底的に教えながら、敵性国家ロシアを研究させていた。日本のシンドラーこと、杉原千畝もここの卒業生なんだそうである。

親ソ、すなわち共産主義者と誤解されやすく、卒業生たちは帰国後その経歴を隠すことも多かったとも聞く。