「アスカとケンスケの秘密」


「あーいーだー!」

「そ、惣流!」

俺が放課後写真のデータを整理してたら
いきなり惣流に襟を掴まれた


「また私の許可してない写真売ってたわね」

「う!」

こないだの女子が水泳、男子はサッカーのときに
望遠レンズで撮った写真を整理してたのが運のつきだった、、、

「こ、これはまだ売ってないぞ!」

「ほほう、じゃあ、これから売りさばくつもりなのね?」


そ、、、そうとも言う、、、

「ちょっとケンエチさせてもらうわよ」

「そ、それを言うなら検閲だろ、、、」

「う、うるさい!」


俺はイスから引き摺り下ろされ惣流が人のパソコンを勝手にいじり出した


「そ、惣、、、流、、、」

勝手に人のデータを、、、


「あれ、これは何?」

「や、やめろ!」

そ、その写真は見るな!
と思ったが惣流がそんな甘いことを許してくれるはずもなかった

「え、、、?」

俺は惣流からパソコンをひったくる


「あ、あんたその写真、、、何?」

「な、何だっていいだろう!」

惣流が見たのは空とか花とか風景の写真
わかりやすく言えば女の子ではない写真

「なんでそんな写真撮ってるの?」

「な、なんでもいいだろ!」

俺はこの、いわゆる真面目な写真を人に見られるのが嫌だった
だからこういう写真を撮るときはまわりに誰もいないのを確認してから撮ってる
シンジやトウジにだって滅多に見せてはいない
ったく、どうしてこれを惣流に見られなきゃいけないんだよ、、、


「ちょっとよこしなさい」

「い、嫌だって言ってるだろ」

「ほ、ほーう
 嫌がる私から勝手に写真を撮ってる人間の言葉とは思えないわね」


お、俺は断言できるぞ!
惣流は口では何だかんだいいながら写真を撮られることに喜びを感じてる!
実際惣流の写真がある程度たまって綾波にシフトしたら
惣流はあきらかに不機嫌になったんだ!
こいつが写真撮ることに怒りをあらわにするのは言わばポーズで
本当のこいつは撮られることに喜びを感じてるんだ!

「あ、、、」


と、俺がどんなに思っても俺が惣流に勝てるはずもなく
惣流にパソコンを奪われた


「へー、あんたこういう写真も撮れるんだ」

「わ、悪いかよ、、、」

「悪いなんて一言も言ってないでしょ」

惣流は俺の一番見られたくない写真を見続けた


「ただの変態じゃなかったのねー」

「う、うるさいな、、、
 そーゆーこと言われるから見せたくなかったんだ、、、」

「そうなの?」

「お、おまえな、、、
 女の子の写真を売ってて俺が恥ずかしいと思ったことがないと思ってるだろ!」

「、、、ち、、、違うの、、、?」


このやろー、、、やっぱり本気でそう思ってやがったな、、、

「最初はしゃれで売ったんだよ!
 そしたら予想外にばかすか売れて、勝手に市場ができたんだ!」

俺は力任せに叫んだ


「始めは儲かっていいなと思ったさ!
 でも、上級生にはひそひそ話されるし、下級生にはさけられるんだよ!
 本気でやめようかマジで悩んだことだってあるんだよ!
 でも、儲けとは別に市場のニーズがすごいんだ!
 あいつら自分で写真撮って変態扱いされるのが嫌で俺を頼ってくるんだよ!
 言っとくけど、そいつらはひとりやふたりじゃないからな
 惣流に納めてる上納金考えればわかるだろ!」

どんどんヒートアップしてく俺、、、


「もう、俺にやめるって選択肢はなかったんだよ!
 だから開き直って変態やるしかなかったんだよ!
 その変態がこういう写真撮ると、、、
 『なんであの人普通の写真撮れるのに変態なんだろ?』
 とか、噂されるだろ!
 俺だって変態やりたくてやってるんじゃないんだ!
 違うんだ!
 素で売れるわけないだろ、女の子の写真を!
 ハイにならないとやってられないんだよ!
 白い目で見られるより、さけずまれる方が楽なんだよ!」

  

叫んでて、自分でももうよくわからなくなってきた、、、


「、、、」

惣流は突然、無言でパソコンを返してくれた 

「相田」

「な、何だよ、、、」

「このことは私の胸のうちに秘めといてあげるわ」

「お、、、おう、、、」

「た、だ、し」

「?」

「あんたの誠意を待ってるわ」

惣流はそう言って教室を出た
何だよ、誠意って、、、
、、、分かってるよ
誠意って、アレだろ、、、
ちっくしょ、、、

俺はその日は簡単にデータを整理するとパソコンをしまって家に帰った
今日はなんてついてないんだ、、、