僕が君から借りたもの


 2005年は終戦から、そして広島被爆60年の佳節を迎えました。

広島は廿日市での平和プロジェクトへのイベント参加をさせていただきました。

そこでたくさんの未来っ子たちと一緒に歌う歌を作ることになったのです。

正直、被爆60年のこの時に、何を作ったらいいのか分かりませんでした。

というよりも、自信がなかったようにも思います。

もちろん戦争に対しては絶対断固反対です。

Noは誰でも言えると思うのです。

どんな風にNoなのか。どうしていきたいのか。どうすべきなのか。

そんな事を考えながら、廿日市現地を訪れ、子供達と触れあう機会がありました。

広島の未来っ子たちは明らかに、他の地域の子供達との平和への意識が違うように思いました。

それでも、その意識は薄れつつあるというお話を伺いました。

そう、それはその意識を守ろうとする大人たちがいるということなのです。

子供達の平和への意識がが違うというのは、大人たちの意識が違うのです。

自分の意識を見直さなければと心に深く思いました。

お話をいただいた時からず〜っと考えていたテーマがある時言葉になって出て来ました。

それがタイトルになりました。

今ここにある全ては、次の世代から借りているもの。

より良くして未来へ返したい。

 僕にとっての「君」という意味は大袈裟なものではなく、

いつもいつもその時に自分の目の前にいる人。

広島廿日市市の子供達と歌うために作りましたが、僕は大人の歌だと思っています。

大人が意識するべきだと思った事を歌にしたかったのです。

 2005年7月31日のコンサートの前日。

30日に子供達とのリハーサルの時に コーラスパートを録音させていただきました。

僕にとっても一生忘れる事のできない大切な子供達との出会いを、

このトラックに残す事が出来ました。

歌詞の冒頭に出てくる白い魚の形をした雲。実は僕が見たのは蟹の形でした。(余談)