花冷え

 

春真っ盛り。

万朶の桜。

桜の花を咲かせる前の枝は、中まで赤みを帯びてるってご存知でしたか?

春を目前にして、からだ全体で燃えるように、花開く準備をしてるんですね。

先の「涙のゆくえ」とシリーズ化して、ライブなどでも続けて歌うことの多いこの曲。

説明するまでもありませんが、満開の桜の季節でも、

ふっと冬が戻って来たように冷たい、 寒い日のことを 「今日は“花冷え”ねぇ」なんて言いますよね。

そんな「花冷え」の日は、大切な何かを思い出させてくれる。

冬の厳しい日々を耐え抜いて来たからこそ、今こんなに美しい花を咲かせる事ができるんだと教えてくれる。

 

人は忘却の生き物だとか…。 どんなに悲しく、胸を痛めた出来事も、

幸か不幸か、いつか遠い記憶になる日が来ます。

でも、忘れてはいけないことっていっぱいあるんですよね。

歌詞にこそ出てきませんが、 私にとってこの歌の「あなた」は、“母”以外の 誰人でもありません。

母を失った悲しみは日に日に薄れて行くようだけれど、

やはり母の偉大さを思い出させてくれる

「花冷え」の日なのです。